イラストレーターのYuiです。
もう10年以上前の話になります。
非常にさえなかった予備校生もなんとかなる
というお話です。
出来ない、わからないだらけ
私は1年浪人して美大に入学しました。
それまで
美術科の高校
大手予備校へ入り
さらにそのまま浪人。
そんな私は
・デッサンがうまいわけでもなく、好きでもなく
・色使いが素敵なわけでもなく
・構図のとり方が格好いいわけでもなく
突出するものはありませんでした。
周りは特徴的な人ばかりで
「私全然描けてないし、魅力無いじゃん」(絵の魅力)
たぶん、あの頃、絵を描くの楽しくなかったです。
(親には言わないでほしい)
何か特徴があるらしいけど見つからない
たびたび
「自分の特徴が必ずある」と先生は話していて
「いいね」と褒められた絵に共通するものが
何かあるはず という話をしていました。
でも私には「いいね」と言われた絵が全くなくて
後半になってようやく3枚くらい出てきた。
(一週間に何枚も描くのに)
内容は
1枚は小さな水彩(外で緑広がる中でふわ~っと描いた絵)
1枚は木炭デッサン(未完成)
1枚はパステルでの静物(未完成)
最終的に3枚でたけど、浪人中のほとんどは比較・分析する
絵は無かった。
私には特徴がないのかなと思い
特徴のある画家さんのエッセンスをお借りして
いい感じにならないかな~と
やみくもに画集をみてちょっと真似してみたりしたけど
ただ上っ面を真似してるだけで、、
真似にもなっていないと言われた気がします \(^o^)/
そもそも、やみくもに画集を見てるのもね
(先生には見透かされてるきがして、画集室へ行くのも緊張でした)
話はそれますが、数年前に漫画「ブルーピリオド」を途中まで読みました。
(読んでない人はネタバレになるので飛ばしてくださいね)
芸大に合格するところまで読みました。
正直、「みんなあんなに考えて描いてたの!?」って
もうそれは私は低レベルだったなあと振り返りました。
みんなではなくても、芸大に合格する人の中にはあのような
考え方をしている人がいたと知ることができただけでも貴重。
どこかで聞いた噂のスイッチ
話は戻りまして、日々制作をしていて
どこかで何かのスイッチが入る人がいます。
覚醒!みたいな感じでしょうか。
夏期講習、冬期講習、入試直前講習、、
日々の何処かで、、
私には全く気配がなく、いつまでたっても方向性がつかめなくて
直前になっても絵を完成できない状態。
「何か新しいこと試してみよう」という事に逃げたりしてました。
そんな私はどうなったかというと
一浪して多摩美術大学油絵学科に入学できました (;_;
そう、何かのスイッチが直前の直前に現れました。
(一週間位前だったかな)
それはもう先生への感謝が絶大です。
どんな流れだったかというと
順番はあやふやですが
年も明けて入試直前講座が始まり、1日に油絵、デッサンと2枚ほど描く日々。
先生が私の道具をみて、驚いたんでしょうね
・絵の具のベーシックなもの揃ってない(安くて大きいの選んでました)
・筆もベーシックなもの揃ってない(気になるものをたまに買ってました)
道具から基礎がなってなかったんだと思います。
そこで
筆でとても有名な「名村大成堂」の筆を当時1本も持って無かったので
購入を進められました。(使った記憶もなかった)
ナムラ、なむらと呼ばせてもらいます。
それと同時に先生は
「Yuiさん、油絵も木炭デッサンするように描いてみては?」と
提案をしてくださいました。
「!!」
目から鱗。
私はこの頃まで
形になった絵は木炭デッサンとパステル画のみでした。
パステル画も木炭デッサンに近い描き着心地で雰囲気
よかったことを覚えています。
それを油絵に取り込もうなんて、思いつきませんでした。
先生、やっぱり先生です(*_*)
先生はたしか多浪して芸大へ入られた方でした。
見方?捉え方がちがうんだなあ
そこから急いで試行錯誤
油絵で木炭デッサンのようにできるように下地を作って、硬めのナムラの筆を使い
描いた絵は、とっても描きやすくて驚きました〜
(描きやすいというのは描き心地ではなくて、どんどん筆が進むかんじ
イメージが膨らむかんじ?)
で、試験直前に私の気持ちも突然カアーーーと怒りのような何か
湧き出できて、試験へ。
当日は緊張して、下地づくりがうまくいかなかったり
思わぬことに動揺したりで不完全燃焼。。
でも、覚醒!ってこんなこういうこと!?と味わうことができて
本当によかった。
特徴を見つけてもらった先生にも心から感謝申し上げます。
試験直前にでてきた怒りのような気持ちとは
「なにクソ!」
この気持ちに近いようなことを現役生のときに先生がお話していました。
「先生に言われたことをすっと受け入れるより、何クソ!と思ってもらえる
ほうがいい」と。
私は先生には1mmも思いませんでしたよ。
これまでの日々に思いました。
これしか出来ない!の、”これ”が唯一の特徴だった
苦し紛れに、色々試したり真似したりしたけど
結局最初から、できることは変わらなくて、
「これしか出来ない」ということを2年かけて分かったんだと思います。
・油絵、さえない
・鉛筆デッサン、さえない
・他の画材使ってもさえない
・木炭デッサン、トコロドコロ少しいい雰囲気でてる
(でも完成までたどり着けない)
くらいの違いでした。
続けてみて、結果が溜まって
よくわからず手を動かしていたことも無駄ではなかったようでした。
すごい勢い試していたらもっと早くに分かったり
違う何かを見つけてたかもしれないと思うけれど
でもそれはまたそれですよね。
今、イラストレーターとして活動していますが
絵を描くことから離れてチマチマ粘土をさわったり
写経をしてみたり
「パンで立体物作りたい!」と就職して挫け
「一人でお菓子屋さん開いてみたい!」と
アルバイトして正社員になって挫けて、、
10年ほど絵を描いていませんでした。
ある時お仕事で描いてみたら
楽しいし、喜んでもらえるし!という事でまた描いています。
浪人生のときのように色々試してみたけど、
「絵描くの好きだな」と元に戻ってきたような気がします。
余談
名村大成堂さまのHPを開くとまず
”いいアイディアは、いい道具から。”
とあり、ぐっこみ上げるものがあります (;_;)
なぜベーシックなものを持って無かったかというと
私、高校1,2年生で油絵セット購入して描いていたので
もうベーシックな物は無くてもいいかなーなんて考えていたのですが
そんなことは無かったようですね。
色で個性だせるのかなと思いましたが、私の感覚は✗
予備校でずーっと言われていたのは
「稚拙だね」
色も形の表現、捉え方も、、
ほんとに恥ずかしかった。
ここまで読んでくださった皆様、長文をありがとうございました^^
コメント